本文へ移動
目次へ
同じ部屋なのに、金属はどうして冷たく感じるの?:内容をイメージした挿絵
科学の原理

同じ部屋なのに、金属はどうして冷たく感じるの?

机の金属の脚はひんやりするのに、木の板はそれほどでもないね。温度が違うとは限らないんだ。手から物へ移る熱に注目して、「冷たい感じ」の正体を考えよう。

まず、ひとことで

手より温度が低い物に触れると、手から物へ熱が移るよ。金属は木より熱を伝えやすく、手の熱が速く移るので、同じ温度でも冷たく感じやすいんだ。物の温度と、触れたときの熱の移り方は、別々に考えよう。

触った感じが違えば、温度も違う?

同じ教室に置いてある、木の机と金属の脚を思い浮かべよう。どちらも冷蔵庫から取り出したわけではないのに、金属の方がひんやり感じることがあるね。それなら金属の方が低い温度なのかな。実は、十分に時間をおいて同じ環境になじんだ二つなら、触る前の温度がほぼ同じでも、感じ方が違うことがあるんだ。

温度は、熱さや冷たさの状態を表し、温度計などを使って比べる量だよ。一方、手で触った感じには、触れたときに自分の皮膚がどう変化するかも関わる。同じ数値の温度と、同じ触り心地は、同じ問いではないんだ。金属と木を比べると、物の状態と、自分と物の間で起こる出来事を分けて考える練習になるよ。

まずは、同じ環境で待った場合を考えよう

例えば室温を22度とした、説明用の部屋を考えるよ。金属の板と木の板を、日光や暖房の熱が直接当たらない場所に置き、十分に待つ。ほかに熱を加えるものがなければ、二つとも周りの温度に近づいていく。最初の図の22度は、実際に測った記録ではなく、この条件を分かりやすくするための仮の値だよ。

熱をやり取りできる物どうしが同じ温度に落ち着いた状態を、熱平衡というよ。ただし、同じ部屋ならいつでも全部が同じ温度、というわけではない。窓から日光が当たる物、直前まで使っていた機械、冷蔵庫から出したばかりの物は、条件が違うね。「部屋が同じ」というだけでなく、場所と、置いてからの時間を確かめることも必要なんだ。

日光や暖房が直接当たらない室内で十分に待った木と金属が、触れる前にはどちらも22度であるという仮の条件を示す。
触る前の温度が同じでも、感じ方は違う

条件をそろえた説明用の模式図。22度は仮の値で実測データではないよ。温度計も記号で、実際の測定器や測り方を再現したものではない。日光や加熱・冷却がある場合は、この条件とは異なる。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

手から物へ、エネルギーが移っている

普段の室内では、手の表面の温度が、机などの温度より高い場合が多い。そこで手を触れさせると、高い温度の側から低い温度の側へ、エネルギーが移るよ。温度の違いによって移るエネルギーを、熱と呼ぶんだ。木でも金属でも、この条件なら、手から物へ熱が移る向きは同じだよ。

冷たい何かが、金属から手の中へ流れ込むわけではない。手からエネルギーが移り、触れている皮膚の温度が下がることが、冷たい感覚に関わっているんだ。皮膚は、離れた場所にある物の温度を、直接数字で読み取る装置ではないよ。自分の皮膚の状態を通して、触った相手からの情報を得ているんだね。

金属は、触れた場所の先へも熱を伝える

物が接しているところや、物の内部で、熱が伝わることを熱伝導というよ。一般に、金属は木より熱を伝えやすい。手から金属の表面へ移ったエネルギーは、その先の部分へも伝わりやすいんだ。接しているところだけにエネルギーがとどまりにくいため、手から熱が移る状態が続きやすくなるよ。金属の中身が液体のように流れている、という意味ではないんだ。

木では、表面から奥へ熱が伝わりにくいので、手が接する付近は温まりやすい。すると、その場所と手の温度差は小さくなり、熱の移り方も変わるよ。手からの熱が、金属ほど速く移り続けないため、木の方が冷たく感じにくいんだ。二つ目の図では、熱の向きは同じまま、移り方の違いを描いたよ。矢印は物質の流れではなく、エネルギーが移る向きなんだ。

伝えやすさだけで、全部決まるの?

ここまでの説明では、熱の伝わりやすさを中心に考えた。でも、触れたときの温度の変化を詳しく調べるには、ほかの性質も関係するよ。一定の大きさの物を温めるのに、どれくらいのエネルギーが必要かも大切なんだ。少しエネルギーを受け取っただけで温まりやすい物と、たくさん受け取っても温度が変わりにくい物では、手とのやり取りも違ってくるね。

熱の伝わりやすさ、密度、温度を変えるのに必要なエネルギーを組み合わせた性質を、熱浸透率と呼ぶよ。読み方は「ねつしんとうりつ」。物どうしが触れたときの熱のやり取りを考える指標になる。難しい式は使わないけれど、冷たさの感じ方が一つの数字だけでは決まらないと覚えておこう。薄い金属片と大きな板、表面に別の材料が付いた物なども、同じ条件ではないよ。

手の方が温かい条件で、金属と木のどちらへも手から熱が移る。金属では接触面から内部へ熱が伝わりやすく、木では伝わりにくいことを比較する。
手から移る熱の向きは同じ、速さが違う

触れ始めの熱移動を単純化した模式図。矢印は熱の向きと伝わり方の違いを表し、粒子の移動や実測の量・倍率ではない。接触時間、物の大きさ、熱容量などによる違いは省略しているよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

金属は、いつでも冷たく感じるのかな?

今までの条件は、物が手より低い温度だったね。もし物の方が手より高い温度なら、熱が移る向きは反対になる。物から手へ熱が移るんだ。金属は熱を伝えやすいので、同じ温度の木などより熱く感じやすい場合もあるよ。金属が冷たさだけを運ぶ特別な材料なのではなく、熱をやり取りしやすい性質が、条件によって違う感じ方につながるんだ。

これは紙の上で条件を入れ替える話だよ。熱い金属を触って確かめる必要はないし、温度の分からない物を手で測ろうとしないでね。調理器具の持ち手などに、熱を伝えにくい材料が使われることにもつながる。材料を選ぶときは、どこからどこへ熱を伝えたいのか、または伝わるのを遅くしたいのかを考えるんだ。

温度計と、手は違う情報を教える

物の温度を確かめるなら、表面を測るのに適した温度計を、使い方に従って使うよ。温度計も、物と十分に接して値が落ち着くまで待つ必要がある場合がある。部屋の空気を測るだけでは、たった今持ってきた物の表面まで同じ温度と確かめたことにはならないね。測る道具と場所と待ち時間を、問いに合わせて選ぼう。

木と金属がほぼ同じ温度だと分かっても、手で感じた違いがうそになるわけではないよ。温度計は物の温度を比べ、手の感覚は触れたときの皮膚の変化に関わる情報を伝えている。同じ物について、別の側面を見ていたんだ。感じ方と測定値が食い違うように見えたときは、どちらが正しいかを急いで決める前に、何を比べたのかを言葉にしてみよう。

どっとと考えよう:矢印を描く前に、条件を決める

紙に「手」「金属」「木」の三枚のカードを描こう。手の方が二つの物より温かいと仮定したら、熱の矢印はどちら向きかな。次に、二つの物の方が手より温かい場合へ、条件だけを入れ替えてみよう。材質の名前はそのままでも、矢印の向きが変わるね。「金属だから冷たい」で止めず、温度の高い側と低い側を確かめてみよう。

身近で比べるなら、長く室内に置いた、乾いていて、角のとがっていない木と金属の物を選び、軽く触れた感じをメモできるね。加熱や冷却はせず、触れる面の大きさや時間もそろえてみる。違いが出ても、全ての材料へ同じ結果を広げないでね。日常のひんやりには、物の温度、材料の性質、そして自分との間を移るエネルギーが、一緒に関わっているんだ。

ことばのメモ

温度
物の熱さや冷たさの状態を表し、温度計などで比べる量。
熱
温度の違いによって、高い温度の側から低い温度の側へ移るエネルギー。
熱平衡
熱をやり取りできる物どうしが、同じ温度に落ち着いた状態。
熱伝導
接している部分や、物の内部を通して熱が伝わること。
熱浸透率
熱の伝わりやすさ、密度、温まりにくさに関わる性質を組み合わせた、接触時の熱のやり取りの指標。

もとになった資料・もっと知りたい人へ

下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。

分かりやすくするために、説明を短くしたり、たとえ話を使ったりしています。まちがいを見つけたらお問い合わせへお寄せください。制作方法は編集方針、いっしょに読むときのヒントは保護者・先生へで紹介しています。