
声はどうやって、離れた耳まで届くの?
口から耳へ、空気がずっと飛んでいくのかな。音の道をたどると、動くものと伝わるものの違いが見えてくるよ。

まず、ひとことで
音は、空気などの物質を通って伝わる振動。空気のつぶが口から耳まで一列で走るわけではないんだ。
声の正体は、小さな揺れ
友だちが向こうの席で話している。口と耳はつながっていないのに、どうして声が聞こえるんだろう。間にある空気は透明だから、何も起きていないように見えるね。でも、その空気の中を、小さな揺れが伝わっているんだ。
ものが行ったり来たりする動きを「振動」と呼ぶよ。声を出すときは、のどの中の声帯が振動する。スピーカーでは薄い板のような部分が振動する。違う道具でも、まわりの物質に揺れを起こすことが音の出発点になるんだ。
そっとのどに手を当てて、普段の小さな声で「あー」と言ってみよう。声を出している間と、止めたときで違いを感じるかな。強く押したり大声を出したりする必要はないよ。触れた感覚は、見えない振動を調べる一つの手がかりなんだ。
空気が、少しずつ押し合う
空気は、目に見えないほど小さな分子というつぶでできている。音を出す面が前に動くと、近くの空気が押される。すると、その先の空気にも押す作用が伝わる。面が戻る側の動きも重なり、空気が少し混み合う場所と、少しすく場所ができるよ。
この混み方の変化が、次々と広がるのが空気中の音の波なんだ。ここで大事なのは、空気の動きと波の進み方を分けること。音による空気の揺れは主に前後への小さな動きで、波はその間にも先へ進んでいく。もちろん実際の分子には、熱による細かな運動もあるよ。
一列の人が、その場で少しずつ前後に動いて合図を隣へ渡す様子を思い浮かべてみて。最初の人が列の最後まで走らなくても、合図は最後まで届くね。ただし空気の分子は意思を持って合図を渡す人ではない。ぶつかり合う物質の働きを考えるためのたとえだよ。
空気中の音を単純化した模式図。つぶの数・間隔・動きは実際の尺度ではないよ。熱による分子の運動は省き、音による前後の揺れだけを示しているんだ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図風と音は、同じなのかな?
息を吹きかけると、空気そのものがまとまって移動するね。それは空気の流れで、音の波とは区別できる。声を聞くたびに、話した人の口の近くにあった空気が全部耳まで届く必要はないんだ。風がほとんどない部屋でも、会話できる理由が見えてきたかな。
音を運ぶ空気や水などの物質を「媒質」と呼ぶよ。空気だけが特別なのではなく、水や固体にも音は伝わる。机に生じた振動が机を通ることもあるんだ。ただし伝わる速さや弱まり方は物質と条件で違うので、何を通るかを確かめることが大切だよ。
反対に、物質がない真空には、押したり揺らしたりする相手がない。だから音の波は真空を伝われないんだ。宇宙の映像に効果音が付いていても、そこで聞こえる音をそのまま真空中で耳が聞いた記録だと考えないようにしよう。
高い音と、大きい音を分けよう
揺れが一秒間に何回くり返すかを「周波数」というよ。単純な音では、回数が多いほど高く、少ないほど低く聞こえる。速いテンポの揺れと、ゆっくりした揺れの違いなんだ。波が部屋の中を進む速さと、同じ場所で揺れがくり返す速さは、別の量だよ。
揺れの大きさを表す言葉は「振幅」。同じような音を同じ条件で比べると、振幅が大きいほど大きく聞こえる。だから高い音を小さく出すことも、低い音を大きく出すこともできるんだ。音の高さと大きさを一本のものさしにしないでね。
本物の声や楽器は、いろいろな周波数の揺れが重なっている。一本の滑らかな波の絵だけでは、音色の違いまで全部は表せないよ。また聞こえる大きさには耳の感じ方も関係する。図はまず二つの違いを学ぶため、単純な音だけを選んでいるんだ。
同じ場所の圧力の変化を時間に沿って描いた概念図。周波数と振幅の違いを別々に比べているよ。空気のつぶがこの曲線に沿って移動するわけではなく、実測データでもないんだ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図波の絵は、空気の通り道ではない
音を説明する本には、山と谷のある線がよく出てくるね。その線を見て、空気が坂を登ったり下ったりしながら耳へ走っていくと考えると、少し違ってしまう。線が何を表すかは、縦と横の軸を読むと分かるよ。
たとえば横が時間、縦が一か所の空気の圧力の変化なら、山はいつもより強く押される時刻、谷は弱く押される時刻を表す。紙の上の「上」は、空中の高い場所を意味しないんだ。気温を線で描くときも、気温そのものが坂を登るわけではないね。
時間の幅をそろえて波を比べると、山の回数から周波数、真ん中からの高さから振幅を比べられる。軸や幅が違う図を、見た目だけで比べるのは避けよう。図の約束を読むことも、見えない音を調べる大事な技術なんだ。
二つの波で横軸の時間が同じかどうか、指で確かめてから数えてみよう。一方だけ長い時間を描いていれば、山が多くても高い音とは限らない。見た目の印象を比べられる量へ変えるのが、グラフの上手な使い方だよ。
宇宙飛行士の声が届くのはなぜ?
真空に音が伝わらないのなら、宇宙飛行士と地上はどうやって話すのだろう。鍵は、情報の運び方を途中で変えることにあるよ。声の振動をマイクで電気の信号に変え、その情報を電波にのせて送るんだ。
電波は光と同じ電磁波の仲間で、音の波とは違い、真空も進める。受け取る側は情報を取り出し、スピーカーなどを振動させる。その近くの空気に、あらためて音が生まれて耳へ届くよ。声という情報は続いていても、道中ずっと同じ種類の波だったわけではないんだ。
このように「何が揺れるか」「何を通るか」を追いかけると、同じ波という言葉にも違いがあると気づける。音を伝える仕組みを理解することは、ふだん使う通話や録音の道具を理解する入り口にもなるよ。
どっとと考えよう:二つの矢印を描ける?
紙の左に音を出すもの、右に耳を描こう。その間に空気のつぶをいくつか描き、それぞれの近くに短い前後の矢印を付ける。さらに、全体を左から右へ向かう長い矢印を描くんだ。短い矢印は空気の揺れ、長い矢印は波の進む向きだよ。
次に、間を真空にした絵を描いてみよう。空気のつぶがないとき、同じ説明を続けられるかな。情報を届けたければ、電波を使うなど別の方法が必要になるね。どの矢印が何を表すか、言葉でも添えると説明がはっきりするよ。
最後に「高いけれど小さい音」を、波の回数と振幅の二つの言葉で説明してみて。目には見えない音も、揺れるもの、運ぶもの、比べるものを一つずつ分ければ、自分の言葉でたどれるようになるんだ。

ことばのメモ
- 振動
- ものや物質が、行ったり来たりして揺れること。
- 媒質
- 波が伝わるもとになる物質。音なら空気や水など。
- 周波数
- 一秒間に揺れがくり返す回数。単位はヘルツ。
- 振幅
- 揺れが真ん中の状態からどれくらい変わるかを表す大きさ。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- NASA:Anatomy of an Electromagnetic Wave
- NASA:Noise: Good Vibrations
- NASA:Cosmicopia — Waves, Light and Sound
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