
コウモリは、音でどうやって虫を見つけるの?
暗い空を飛びながら、小さな虫を追いかけるコウモリ。自分の声が戻るまでの短い時間に、どんな手がかりがあるのかな?

まず、ひとことで
虫を探す多くのコウモリは、自分が出した音の反射を聞き、戻るまでの時間などから相手の場所を調べるんだ。
暗闇に、自分から問いかける
夕方の空で、コウモリがひらりと向きを変えることがあるね。小さな虫を追う種類の多くは、目で見るだけでなく、自分から音を出して周りを調べているよ。音が物に当たって戻る「反響」を使って場所を探す方法を、反響定位と呼ぶんだ。
山で声が返ってくる、やまびこを思い浮かべてみよう。返事をする誰かがいるのではなく、自分の声が遠くの面で反射して戻ってくるんだね。コウモリの方法にも、音を出し、戻ってきた音を受け取るという共通点があるよ。
ただし、虫を探すコウモリは、人が山に向かって叫ぶときよりずっと短い時間の違いを使うんだ。反響は「ここにいるよ」という虫の鳴き声でもない。鳴いていない虫でも、自分から当てた音が反射すれば手がかりになるところが面白いね。
音は、虫まで行って戻ってくる
まずコウモリが短い音を出す。音は空気を伝わって広がり、その一部が虫に当たり、さらにその一部がコウモリの耳へ戻るよ。耳が受け取るのは出発した音の全部ではなく、周囲から返ってきた小さな部分なんだ。
ここで、音の道を矢印にしてみよう。「コウモリから虫へ」だけで終わらず、「虫からコウモリへ」も描くよ。この往復の時間が、距離の大切な手がかりになる。相手が遠ければ、同じ空気の状態では、行って帰るまでに長くかかるね。
下の図の二色は、行きと帰りを見分けるための約束だよ。本当の音に色が付いているわけではないし、一本の線の上だけを進むわけでもない。仕組みの中から必要な道筋を選んで描いた模式図なんだ。
音が広がる様子から、往復の道だけを取り出した模式図。色は説明用で、音そのものに色はないよ。動物の大きさや距離も実際の縮尺ではないんだ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図超音波は、強い音という意味?
多くの種類が探査に使うのは、人には高すぎて聞こえない「超音波」だよ。音の高さは、空気の振動が一秒間に何回繰り返すかに関係するんだ。回数が多いほど高い音になり、人の聞こえる範囲を超える高い音を超音波と呼ぶよ。
「超」という字から、とびきり大きな音を想像するかもしれないね。でも高さと大きさは別の性質なんだ。高い笛を小さく吹くことも、低い太鼓を大きく鳴らすこともできる。超音波を大音量という意味で使わないようにしよう。
コウモリの声が全部、人に聞こえないとも限らないよ。種類や声の役目によって違いがあるんだ。研究者は専用のマイクで記録し、音をゆっくり再生したり、時間ごとの高さを図にしたりして、耳だけでは分かりにくい違いを調べているよ。
時間から距離を考えてみよう
計算の練習として、空気中の音の速さを毎秒340メートルと決めよう。音の速さは温度などで変わるので、これは分かりやすくするための仮の条件だよ。さらに、音が往復する間、コウモリと虫は同じ場所にいるものとして考えるね。
音が出てから0.02秒後に戻ったなら、音の進んだ道の合計は340かける0.02で6.8メートル。けれど、これは行きと帰りの合計だよ。虫までの片道はその半分、3.4メートルになる。二つに分ける理由を、矢印で確かめよう。
もっと近い1.7メートルなら、往復は3.4メートルだから、同じ条件では0.01秒で戻るね。ここで出した数字は実際の一匹の測定値でも、コウモリが算数の式を唱えるという意味でもない。時間が距離の手がかりになる理由を示す例なんだ。たとえば往復の時間が二倍なら、この仮定のもとでは片道の距離も二倍になるよ。単位をそろえることも忘れないでね。毎秒の速さを使うときは、時間も秒に直して考えるんだ。
音速は毎秒340メートル、音が進む間に両者は動かないとした計算例。実測値ではないよ。片道の距離は、音速と往復時間を掛けた値の半分になるんだ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図追いかけるときは、聞き直す
飛ぶ虫の場所は、じっとした目印とは違って変わるよ。さっき聞こえた反響だけを頼りに進めば、その虫はもう別の位置にいるかもしれない。そこで獲物に近づいたコウモリは、短い間隔で声を繰り返し、場所を細かく調べるんだ。
これは、待ち合わせに向かう友達の現在地を何度も確かめる感じに少し似ているね。一回の連絡だけより、途中で新しい情報を受け取った方が追いかけやすい。ただしコウモリは電話をしているのではなく、音を送り、その反射を聞いているよ。
森では虫以外に、葉や枝からも音が返ってくる。どの音が何から来たのかを分けることも必要なんだ。ブラウン大学の研究では、波形のある管をまねた輪のトンネルで、反響や飛び方を調べているよ。反響定位にも、周囲の条件が大切なんだね。音が戻ればいつも簡単に相手が分かる、というわけではないよ。自分の動きと相手の動きの中で、次々に届く情報を使うところに、この能力のすごさがあるんだ。
耳を使うなら、目はいらない?
反響定位が得意と聞いても、「コウモリは目が見えない」と決めないでね。コウモリにも視覚があり、音による探査と併せて使う種類がいるよ。音が便利な場面があることと、目が働かないことは同じではないんだ。
また、コウモリには虫を食べるものだけでなく、果実などを食べるものもいるよ。すべての種類が同じ声、同じ方法で食べ物を探すわけではない。今回の話は、主に声の反響を使って虫を探すコウモリの仕組みを取り出しているんだ。
動物の得意技を聞くと、一つの能力だけで暮らしているように感じることがあるね。でも実際の暮らしには、食べ物、周りの明るさ、飛ぶ場所なども関係する。生きものを理解するときは、「どの種類の、どんな場面?」を添えて考えるとよいよ。
どっとと考えよう:半分にするのはなぜ?
紙にコウモリと虫を描いて、往復の矢印を一本ずつなぞってみよう。次に、虫をもっと遠くに描き直すよ。両方の道が長くなることが分かるかな。「音が進んだ長さ」と「虫までの距離」に別々の名前を付けると、混同しにくいね。
では、同じ距離にいても音の速さが変わったら、戻る時間は必ず同じだろうか。道の長さだけでなく、進む速さにも注目すると答えが見えてくるよ。時間から距離を調べるには、音がどんな条件で進んだかも必要なんだね。
目を閉じて走る実験をする必要はないよ。紙の上で道を追うだけでも、大切な仕組みは考えられる。もし夕方にコウモリを見かけたら、追いかけず離れた場所から眺めて、あの小さな耳にどんな情報が戻っているのか想像してみよう。

ことばのメモ
- 反響定位
- 自分が出した音の反射を使い、物の位置などを調べること。
- 超音波
- 人の聞こえる範囲より高い振動数を持つ音。大音量という意味ではないよ。
- 往復
- 目的地へ行く道と、元の場所に戻る道を合わせたもの。
- 模式図
- 説明に必要な特徴を選び、分かりやすく簡略化した図。
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