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ハチは仲間から、むずかしい手順を学べるの?:内容をイメージした挿絵
論文を読む

ハチは仲間から、むずかしい手順を学べるの?

青い部品を動かしてから、赤い部品へ。二段階の箱を使った2024年の研究から、「ひとりで発見する」と「仲間から学ぶ」の違いを考えよう。

まず、ひとことで

研究では、訓練された仲間と過ごした一部のハチが二段階の箱を開けられた。学習の手がかりだが、人と同じ考え方や文化をすべて証明したわけではないよ。

できることは、ひとりで発見できること?

折り紙の作り方を見せてもらうと折れるのに、白い紙だけ渡されると何から始めればよいか分からない。そんな経験はあるかな。自分で手順を見つける力と、だれかの行動を手がかりに学ぶ力は、同じとは限らないんだ。

マルハナバチでも、その違いを調べた研究があるよ。クイーン・メアリー大学などのチームが、二段階の操作で開く箱を用意した。扱ったのはセイヨウオオマルハナバチ。花の蜜を集める生きものに、研究室の新しい課題を試してもらったんだ。

紹介する論文は2024年3月6日にNatureでオンライン公表され、査読を経ている。この記事は2026年10月12日に、研究室が公開する論文本文と図、それに大学の発表を確認して作ったよ。人の折り紙はたとえで、ハチが人と同じ説明を理解するという意味ではないよ。

甘いごほうびの前に、二つの操作

箱を開けるには、まず青い部品を動かして、赤い部品の通り道を空ける。次に赤い部品を押してふたを回すと、砂糖を溶かしたごほうびへ届く。この順番が大切で、最初から赤い部品を押しても、青い部品が邪魔をするんだ。

むずかしいのは、最初の操作だけではごほうびに届かないところ。すぐに得にならない操作も、そのあとの操作と組み合わせれば必要になる。人には説明しやすいけれど、ハチへ言葉で手順を伝えることはできないね。

研究者は見本になるハチを訓練するとき、途中の操作にも一時的なごほうびを使い、あとからそれをなくしていった。一方、仲間から学ぶ側のハチは、その途中のごほうびを経験しなかった。この違いが、実験の大事なポイントなんだ。

青い部品を動かして通り道を空け、赤い部品でふたを動かし、ごほうびに届く三段の模式図
二つの操作を、順番につなぐ

部品の役割と順番だけを表した図。実物の形、回転方向、ハチの動き方は省略したよ。青い部品を動かしただけでは、学ぶ側へのごほうびは出ない。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

仲間と一緒の時間と、一匹のテスト

研究では、訓練されたハチと、まだ箱を学んでいないハチを一緒にして、箱のまわりで過ごす機会を作った。そのあと、学ぶ側を一匹にしてテストしたよ。見本のハチがその場で代わりに開けたのでは、本人が学んだか分からないからだね。

学ぶ側の十五匹のうち五匹が、学習を確かめるテストを通過した。一方、訓練された見本を入れずに調べた群れでは、実験期間中に箱を開ける行動は確認されなかった。見本なしの条件には、二十四日間にわたって箱を試せる機会を設けた群れもあったよ。

この「二十四日」は、一日中休まず箱に触れていた時間ではない。決められた時間の実験を何日か続けた日数なんだ。期間、実際に触れた時間、何匹を調べたかを分けて読むと、数字から受ける印象だけで判断せずにすむね。

十五匹中五匹を、どう読む?

五匹ができたのは面白い発見だね。ただし、十五匹すべてが同じ結果になったわけではない。「ハチは仲間といれば必ず解ける」と言い換えると、記録より強い主張になってしまうよ。実験の結果には、できなかった個体も含まれるんだ。

反対に、一部しかできなかったから価値がない、と考える必要もない。少なくともこの条件で、仲間から得た手がかりを使って課題を学べる個体がいた。その事実は、昆虫の学び方について次の実験を考える出発点になるよ。

図の十五個の丸は、今回の学ぶ側のハチを表したもの。世界のハチ全体の三分の一が同じ箱を開けられる、という意味ではないよ。別の群れ、別の装置、別の時間でも似た結果になるかを調べて、説明できる範囲を広げていくんだ。

もし結果を一枚の写真で紹介するなら、成功した一匹の姿だけが選ばれるかもしれない。でも、研究を読むときは分母も忘れないでね。「五匹できた」に「十五匹を調べた」を添えると、同じ発見の大きさを、ずっと正確に共有できるよ。

学ぶ側の十五匹を丸で示し、学習テストを通過した五匹と、通過しなかった十匹を分けた図
結果は、できなかった個体も含めて読む

2024年の論文の学習テストの結果。丸一つが一匹だよ。世界のハチの割合を推定した図でも、見本なしの群れとの単純な人数比較でもないよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

「見た」だけで、すべて説明できる?

仲間の行動を手がかりに学ぶことを、社会学習というよ。でも、その中身にもいろいろな可能性がある。動かし方をまねたのか、触るべき場所へ注意が向いたのか、仲間と一緒に試すことが役立ったのか。行動が変わっただけで、頭の中の過程を全部は決められないね。

研究ではハチ同士が近くで追いかける行動なども調べている。だから「離れた場所から一回見ただけで、完全に覚えた」という物語にしてはいけない。どんな時間を一緒に過ごし、そのあと何をできたかという、実際の観察に戻ることが大切なんだ。

「教えた」という言葉にも注意しよう。人の先生のように、相手を上達させる目的で行動を変えたと、この実験だけで言えるわけではない。見本になる個体がいて、別の個体の学びに役立った、という説明なら、観察と余計な想像を分けられるよ。

文化の話へ、どこまでつながる?

人は、前の世代が作った道具や知識を受け取り、少しずつ変えてきたね。研究者は、こうして工夫が積み重なる文化についても考えている。自分ひとりでは発見しにくい手順を仲間から学べることは、その仕組みを考える一つの手がかりになるんだ。

でも、この箱の研究で、野外のハチが何世代も道具を改良し続けることまで観察したわけではない。仲間から学べたという一歩と、長い時間をかけて工夫が積み重なるという話を分けよう。興味深い可能性を示すことと、すべてを証明することには距離があるよ。

また、見本なしのハチが実験で解けなかったからといって、どんな条件でも永遠に解けないとは言えない。箱の形や試す時間を変えれば、結果が違うかもしれないね。研究の題名が強く聞こえるときこそ、本文にある条件と比べ方を読みたいんだ。

どっとと考えよう:二段階の手順を描こう

紙に二枚のカードを描き、「青を動かす」「赤を動かす」と書いて並べよう。その先にごほうびの丸を置く。なぜ順番を逆にできないのか、最初の操作だけでは何が足りないのかを、自分の言葉で説明してみてね。

次に「仲間と一緒のときに箱が開いた」と「一匹でも自分で開けた」の二つを比べよう。学んだことを確かめたいなら、どちらの記録が必要かな。人の宿題でも、答えを見ながら書けたときと、あとで自分で解けたときは違うよね。

最後に、学ぶ側の十五匹を紙に丸で描いて、五匹に印を付けよう。できた側とできなかった側の両方を残したまま、研究を一文で伝えてみて。ハチを捕まえたり餌を与えたりせず、紙の模型で問いを確かめれば、結果を誇張しない科学の伝え方を練習できるよ。

ことばのメモ

社会学習
ほかの個体の行動や存在を手がかりにして学ぶこと。
対照条件
調べたい要因がある場合と比べるために用意する条件。
査読
研究の方法や説明を、その分野の専門家が検討すること。
累積的な文化
受け継いだ工夫に新しい工夫が加わり、積み重なっていくこと。

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