
サンゴは動物なのに、どうして光が必要なの?
海の中で枝や花のように見えるサンゴ。その体には、光を使って栄養を作る小さな同居人がいるんだ。二つの生きもののつながりをたどろう。

まず、ひとことで
浅い海でサンゴ礁を作る多くのサンゴには、光合成をする小さな藻がすんでいるよ。サンゴはすみかなどを与え、藻は光合成で作った栄養の一部を渡す。サンゴ自身が植物になるわけではないんだ。
枝のようでも、花のようでも、動物なんだ
海の写真に、枝や丸いかたまりのようなサンゴが写っているね。動きが見えにくいので、石や植物だと思うかもしれない。でもサンゴは動物の仲間だよ。ここでは特に、浅い海でサンゴ礁を作る多くのサンゴを考えよう。サンゴにはいろいろな種類があり、ここで説明する光との関係を、すべてのサンゴに当てはめることはできないんだ。
大きなサンゴをよく見ると、小さな体がたくさん集まっていることがある。一つずつの体をポリプというよ。ポリプには口と、その周りの触手がある。触手で水中の小さな生きものなどを捕らえて食べるんだ。動物であるサンゴが食べ物を取りこむ仕組みと、光が役立つ仕組みは、分けて考えると分かりやすいよ。まずは一つのポリプへ目を向けよう。
やわらかい体と、硬い骨格は別のもの
サンゴ礁を作る硬いサンゴでは、やわらかいポリプの体を、炭酸カルシウムという物質でできた骨格が支えているよ。ポリプが作る硬い部分と、生きて食べ物を取りこむやわらかい部分は同じものではない。石のように見えるところだけを見ていると、生きている体の働きを見落としてしまうね。骨格はサンゴが作り出した構造なんだ。
最初の図では、ポリプを横から切って中を見たつもりで描いているよ。口、体の内側の空間、周りの組織、下の骨格を分けてみよう。組織というのは、細胞が集まって体の一部分を作るものだよ。その組織の中には、小さな藻がすんでいる。図の丸は、その存在を見つけやすく大きく描いたもの。実際の大きさや細かな細胞の形を再現した絵ではないんだ。
ポリプの体を簡単にした断面の模型だよ。褐虫藻は組織内にすむ。丸は位置を見つけやすく大きく描き、細胞の細かな構造や実際の縮尺は省いているよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図体の中にすむ、光を使う同居人
この小さな藻は、褐虫藻と呼ばれる仲間だよ。藻の一つ一つが、サンゴとは別の生きものなんだ。サンゴの体の中にいるからといって、サンゴの細胞そのものになるわけではない。褐虫藻は光のエネルギーを使い、二酸化炭素と水から糖などの有機物を作る。この働きが光合成だよ。有機物は、体を作ったり生きるためのエネルギーを取り出したりする材料になるんだ。
光は、食べ物の粒としてそのまま口へ入るわけではないよ。光合成を進めるためのエネルギーとして使われる。一方、二酸化炭素や水は、作り変えられる材料の側だね。「光からごはんを作る」という短い説明を読んだときも、エネルギーと材料を分けて思い浮かべると正確になる。光を使う仕事を担当するのは、ここではサンゴと暮らす藻なんだ。
すみかと栄養を、行き来させる
サンゴは藻に、体の中の守られたすみかを与える。サンゴの体の働きで生じる二酸化炭素なども、藻が使う材料になるよ。藻は光合成で作った栄養の一部をサンゴへ渡す。サンゴは受け取ったものを成長などに使うんだ。片方だけが何かをもらうというより、違う働きを持った二つの生きものが、相手の役に立つものをやり取りしているんだね。
このように、異なる生きものが関わり合って暮らすことを共生というよ。今回の例では、両方に利益がある関係になっている。ただし、共生という言葉を見ただけで、どんな条件でも両方が必ず得をする、と考えないようにしよう。二つ目の図は、主なやり取りだけを抜き出したもの。矢印の太さは量を表していないし、体の中のすべての物質を描いているわけでもないよ。
光が大事でも、サンゴは食べる
藻から栄養を受け取るなら、口や触手は要らないのかな。そうではないよ。サンゴは小さな動物などを捕らえたり、水中の有機物を取りこんだりすることもできる。食べ物を捕らえる道と、藻から受け取る道があるんだ。どちらからどれくらい栄養を得るかは、種類や環境によって違う。すべてのサンゴで同じ割合だと決めつけず、複数の道があることを覚えておこう。
浅い海のサンゴ礁で透明な水が大切なのは、光が藻へ届くことにも関係している。水中の濁りで光が届きにくくなると、光合成の条件が変わるからだよ。ただし、光は多ければ多いほどよい、という話ではない。水温や光など、暮らしの条件を合わせて考える必要があるんだ。「動物なのに光が大事」という不思議は、同居人まで視野を広げるとつながってくるね。
浅い海の多くの造礁サンゴと藻の、主な関係の模式図。矢印の太さは量を表さず、光は材料そのものではなく光合成を動かすエネルギーだよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図白化は、体の色と栄養のつながり
サンゴの色には、体の中にいる藻も関わっているよ。水温などの条件が大きく変わってサンゴが強い負担を受けると、藻が体から失われることがある。するとサンゴが白っぽく見える。これが白化と呼ばれる現象だよ。色を漂白剤で落としたという意味ではないんだ。高い水温が原因になることがあるけれど、白化の原因がいつもそれ一つとは限らないよ。
白化した瞬間に、必ずサンゴが死んだと決まるわけではない。条件がよくなって回復する場合もあるんだ。でも、藻から受け取っていた大事な栄養を失うので、厳しい状態が長く続くと死んでしまうこともある。白いという見た目の変化の後ろに、生きものどうしの関係と、栄養を得る道の変化があるんだね。色だけを見て、その後の経過まで断定することはできないよ。
二つの体を、一つのものにしない
「サンゴは光合成をする」とだけ言うと、誰が何をしているかが分かりにくくなる。今回の説明なら「サンゴの中にすむ藻が光合成をし、できた栄養の一部がサンゴへ渡る」と言い直せるよ。少し長くても、主役が二ついることが伝わるね。サンゴは植物へ変わったのではなく、違う生きものの働きを受け取って暮らしているんだ。
人が考える「家賃を払う同居人」のようなたとえは、やり取りを覚える助けになる。でもサンゴと藻が言葉で相談し、約束を結んでいるわけではないよ。体の中の物質の移動や、それぞれの生きる働きによって成り立つ関係なんだ。たとえを使ったあとで、本当は何が動き、どの体で何が起こるのかへ戻ると、生きものの仕組みをもっとよく説明できるよ。
どっとと考えよう:矢印を一本消したら?
紙に「サンゴ」と「藻」の二つの箱を描いてみよう。外から藻へ光、藻からサンゴへ栄養、サンゴから藻へすみかや材料、と矢印や言葉を足す。さらに外からサンゴへ、捕らえて食べる食べ物の道も描こう。次に、藻から届く栄養の矢印だけを消してみて。別の道が残っていても、もとの関係と同じ状態だと言えるかな。実物に触れず、紙の模型で考えられるよ。
別の色で「骨格」と書き足すと、やわらかい動物の体、そこにすむ藻、動物が作る硬い構造の三つを分けられるね。写真を見るときも、どの部分を見ているか問いかけてみよう。動かないから植物、白いから死んでいる、と見た目だけで決めず、体の構造と働き、ほかの生きものとのつながりをたどる。それが、海の中の不思議を読み解く手がかりになるんだ。

ことばのメモ
- ポリプ
- サンゴの小さな一つの体。口と、その周りの触手があるよ。
- 褐虫藻
- 多くの造礁サンゴの組織内で暮らし、光合成をする小さな藻の仲間。
- 共生
- 異なる生きものが関わり合って暮らすこと。この記事では両方が利益を得る例を扱うよ。
- 骨格
- 体を支える硬い構造。硬いサンゴは炭酸カルシウムの骨格を作るよ。
- 白化
- 共生する藻を失うなどして、サンゴが白っぽく見える現象。必ず即座に死んだという意味ではないよ。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- NOAA:What are corals?(ポリプ・食べ物・骨格)
- NOAA:What is Zooxanthellae?(共生と栄養のやり取り)
- NOAA:Are corals animals or plants?(動物と藻の関係)
- NOAA:What is coral bleaching?(白化と回復の条件)
- NOAA:Polyps up close(口・組織・骨格の位置)
分かりやすくするために、説明を短くしたり、たとえ話を使ったりしています。まちがいを見つけたらお問い合わせへお寄せください。制作方法は編集方針、いっしょに読むときのヒントは保護者・先生へで紹介しています。