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宇宙船をぶつけて、小惑星の動きを変えられるの?:内容をイメージした挿絵
論文を読む

宇宙船をぶつけて、小惑星の動きを変えられるの?

DARTは、小惑星にわざと衝突した探査機だよ。でも、ぶつかった映像だけで実験成功とは言えないね。二つの小惑星の明るさを追い、動きの変化を確かめた研究を読んでみよう。

まず、ひとことで

DARTの衝突後、小惑星ディモルフォスが相手のディディモスを一周する時間は、約33分短くなったと2023年の論文は報告したよ。研究者は、明るさの変化やレーダーの記録を使って前後を比較した。ぶつける仕事と、変化を測る仕事がそろった実験なんだ。

衝突したのは、地球へ迫っていた小惑星?

宇宙船を小惑星へぶつける、と聞くと、地球へ迫る巨大な岩を壊す映画を思い浮かべるかもしれないね。でもNASAのDARTは、実験の対象として選んだ小惑星へ、わざと衝突した探査機だよ。2022年9月26日、世界標準時のUTCで衝突した。日本時間では翌27日になる。対象の二つの小惑星は、当時、地球への脅威ではなかったんだ。

目標は、小惑星の動きを変える方法を試すことだった。衝突する映像が撮れたかだけでなく、その後に動きが変わったと測れるかが大切だね。この記事では、2023年3月にNatureで公表された軌道の周期についての論文を中心に紹介するよ。arXivで公開された採択原稿の要旨・本文の測定方法と結果、NASAによる2023年と2024年の解説を参照した。最新の速報という意味ではないんだ。

二つの小惑星なら、一周の時間を比べられる

対象は、大きいディディモスと、その周りを回る小さいディモルフォスの組だよ。小惑星は、太陽系にある小さな天体の仲間だ。DARTがぶつかったのは小さい方なんだ。二つとも太陽の周りを回っているけれど、この論文で注目するのは、小さい方が大きい方の周りを一周する運動だよ。どの天体の周りの話かを、最初の図で確かめよう。

一周にかかる時間を、公転周期という。衝突前のディモルフォスの周期は、約11時間55分だった。実験の前から周期がよく測られていれば、衝突後に同じものを測り直して比べられるね。二つの天体の組を選んだことには、地球の望遠鏡から変化を確かめやすい、という理由もあったんだ。一度の大きな出来事のために、その前の観測が重要になるんだね。

大きいディディモスの周りを小さいディモルフォスが回り、小さい方へDARTが衝突する模式図。比較するのはディモルフォスが相手を一周する時間。
衝突したのは小さい方、測るのは相手の周りの周期

二つの天体と探査機の関係を示す模式図。大きさ・距離・軌道の形は縮尺通りではなく、衝突前の配置の考え方を示している。太陽の周りの軌道は描いていないよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

ぶつかると、どうして動きが変わるの?

動いている物が別の物とぶつかると、相手の動きにも変化を与えられるね。DARTは、ディモルフォスが進む側へ向かって衝突した。探査機は小惑星よりずっと小さいけれど、高い速さでぶつかることで、小惑星の速度を少し変えることを目指したんだ。速度とは、どれくらい速いかだけでなく、どちらへ動くかも含む量だよ。

この実験では、衝突で軌道に沿った速度が少し小さくなり、軌道が縮んで、一周の時間が短くなった。速度が下がったのに一周は早く終わる、と聞くと不思議だね。同じ長さの道を、ただゆっくり走る比較ではないんだ。重力のもとで回る道そのものが変わる。だから「動きが変わった」を、必ず「速く走るようになった」と言い換えないようにしよう。

明るさの変化を、時刻の記録にする

遠い小惑星を、望遠鏡でいつも二つのはっきりした丸として見分けられるとは限らない。研究者は、二つから届く光を合わせた明るさも測ったよ。小惑星は太陽の光を反射して見える。二つが回る間に、一方がもう一方へ影を落とすと、全体が一時的に暗くなる。その時刻を繰り返し記録すれば、回る運動を調べる手がかりになるんだ。

2023年の論文で使った観測期間には、地球から見て一方がもう一方を隠す現象ではなく、影に入る現象が起きていた。天体自身の回転によっても明るさは変わるし、衝突後には飛び散った物質の光も加わる。暗くなった点を何でも同じ印として数えるわけにはいかないよ。研究者はそれらを考慮した模型で、観測と合う周期を求めたんだ。

約33分の短縮を、どう確かめた?

クリスティーナ・トーマスたちの2023年の論文は、公転周期が33.0分短くなったと報告したよ。論文が示す不確かさは1.0分で、3σという統計上の基準による幅だ。二つ目の図では、明るさの記録を時刻で比べる考え方を示した。実際のデータそのものではないし、全ての暗くなる間隔がそのまま一周を表す、という図でもないよ。

解析は一つだけではなかった。明るさの記録を使う方法と、レーダーなどの記録も合わせる方法で、同じ周期の変化と整合する結果が得られた。レーダーは、天体へ電波を送り、戻った信号を使って位置などを調べる方法だよ。ただし、この二つの解析は明るさのデータの一部を共有している。全く関係のない実験を二回した、と言うのとは違うんだ。

架空の明るさの記録を衝突前後で並べ、同じ種類の暗くなる現象の間隔が変わる考え方を示す。2023年論文では一周の時間が33.0±1.0分短縮。
同じ種類の暗くなる時刻を、前後の解析で比べる

実測値を描き直したものではなく、記録を比べる考え方の模式図。線と間隔は説明用で、影・自転・噴出物の光を分ける解析やレーダーは省略している。全ての谷の間隔が一周を表すわけではない。不確かさは2023年論文の3σ基準だよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

飛び散った岩も、押し返す働きをした

衝突では、小惑星の物質が宇宙へ飛び散った。研究者は、この噴出物による反動も、小惑星の動きの変化に大きく関わったと考えているよ。物を一方向へ押し出すと、押し出した側にも反対向きの影響があるね。探査機が運んだ運動の分だけを、そのまま一方的に渡した単純な衝突より、大きな効果が現れたと解釈されているんだ。

だから、小惑星の中身や固まり方も重要になる。かたい一枚岩か、岩がゆるく集まったような天体かでは、衝突や噴出の様子が変わり得るね。今回の結果を、別の大きさや性質の小惑星へ、同じ数値のまま使うことはできない。衝突したことと周期の変化は観測で確かめ、どれだけの反動が生まれたかは、ほかの観測や計算も合わせて考えるんだ。

数値が詳しくなることと、問いが変わること

初期の発表には約32分、その後の2023年の論文には約33分という数字が出てくるよ。NASAの2024年の解説では、さらに詳しい解析による33分15秒という短縮も紹介されている。調べた期間や方法、示す細かさを確かめずに、数字だけを並べてどちらかが間違いだと決めないでね。追加の記録で、衝突後の変化をさらに詳しく調べているんだ。

また、この約33分はディディモスの周りの周期の変化で、太陽の周りを一周する時間の変化ではない。地球へ衝突するまでの時間を33分延ばした、という意味でもないよ。DARTは、対象に到達して動きを変え、その変化を測る方法の実証になった。一回成功したから、どんな天体でも、直前に同じ方法で必ず対応できると示したわけではないんだ。

どっとと考えよう:成功を何で確かめる?

紙に「衝突前の観測」「探査機の衝突」「衝突後の観測」「解析して比較」のカードを描いて、順番に並べよう。もし前の観測がなかったら、後の一枚の写真だけで、周期が何分変わったか分かるかな。もしぶつかる瞬間だけを見たら、その後の運動まで確かめたことになるだろうか。道具を使う仕事と、結果を測る仕事を分けてみよう。

次は、架空の明るさの線を描き、同じ種類の変化にだけ印を付けてみてね。天体の影、天体自身の回転、飛び散った物質の光は、どう見分ける必要がありそうかな。これは記録の読み方を考える活動で、本当の軌道を計算する実験ではない。遠い世界の研究でも、「何を変え、何を測り、どう比較したのか」を追うと、成功という言葉の中身が見えてくるよ。

ことばのメモ

DART
小惑星への衝突で、その動きを変える方法を試したNASAの探査機。
公転周期
ある天体が別の天体の周りを一周するのにかかる時間。自分自身が回る自転とは違うよ。
光度曲線
明るさが時間とともにどう変わったかを示す記録。
レーダー
電波を送り、戻った信号から、相手の位置や動きなどを調べる方法。
噴出物
衝突などで天体から飛び出した岩や細かな粒など。
不確かさ
観測や解析の値に、どれくらいの幅があるかを示すもの。基準や条件と合わせて読むよ。

もとになった資料・もっと知りたい人へ

下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。

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