
地震の波の時間差で、震源までの距離が分かるの?
地震計に先に届くP波と、あとから届くS波。その時間の差が、地下で地震が始まった場所を探す手がかりになるんだ。記録と簡単な模型で考えよう。

まず、ひとことで
P波はS波より速く伝わるので、二つの波が届く時刻に差ができるよ。波の速さや地中の構造を考えながらこの差を調べると、震源までの距離の手がかりになる。場所を絞るには、複数の観測点の記録や震源の深さも必要なんだ。
地下の出来事を、地上から調べる
地下の岩盤がずれると、地震の波が周りへ伝わっていくよ。地震が始まった地下の場所を震源、その真上の地表の場所を震央というんだ。どこで始まったかを知りたくても、地下へ行ってその瞬間を見るのは難しい。そこで役立つのが、各地に置いた地震計の記録だよ。地面がいつ、どのように動いたかを測り、離れた場所から地下の出来事を調べるんだ。
地震計の記録には、時間に沿って揺れを表す線が並ぶ。これを地震波形、または地震の記録というよ。線の高さだけでなく、ある種類の波が届き始めた時刻にも情報があるんだ。この記事では、同じ地震から出た二種類の波が、違う時刻に届くことに注目するよ。目に見えない場所までの距離を、時間を測ることで考えてみよう。
速さの違うP波とS波
地中を伝わる波には、P波とS波があるよ。P波は、波が進む向きに沿って岩を押したり引いたりする。S波は、進む向きに対して横向きに岩を動かすんだ。固い岩の中ではP波の方が速いので、同じ地震から出て同じような道を進めば、P波が先、S波があとに届くよ。地表付近を伝わる波もあるから、地震の波がこの二つだけという意味ではないんだ。
同じ出発点から、速さの違う二人が同時に走り出すところを想像してみよう。近くのゴールなら二人の到着の差は小さい。遠くのゴールへ走り続ければ、差は大きくなるね。ただし、実際の波は人や岩のかたまりが震源から観測点まで走ってくるものではない。岩の動きが周りへ伝わる現象を、到着時刻の違いに限って例えているんだよ。
一定の速さで直進する説明用の計算。地震発生を0秒とし、上と下の時間尺度は同じだよ。実測ではなく、実際の地震の距離や到着時刻を求める表としては使わないよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図届く時刻を、仮の数で比べよう
計算を分かりやすくするため、P波が毎秒6キロメートル、S波が毎秒3キロメートルで、まっすぐ一定の速さで進む模型を作ろう。これは説明用に置いた仮の速さで、どの場所の地震にも使える値ではないよ。地震が起きた時刻を0秒とする。震源から30キロメートル離れた点なら、P波は30を6で割って5秒、S波は30を3で割って10秒で届くんだ。
このとき、二つの到着時刻の差は5秒だよ。同じ模型で60キロメートル離れた点なら、P波は10秒、S波は20秒。差は10秒になる。遠さを二倍にすると、差も二倍になったね。図は、この仮の計算を並べたもの。実際の地震の波形や観測値を写した図ではないよ。どの数を仮定したかを先に決めると、距離と時間差の関係を筋道立てて考えられるんだ。
地震が起きた時刻を知らなくても、差は測れる
今の模型では、出発した時刻を0秒とした。でも、離れた観測点が最初から地震の発生時刻を知っているとは限らないよね。それでも、同じ地震のP波とS波を見分けられれば、観測点の時計で二つの到着時刻を比べられる。たとえば、P波が届いた5秒あとにS波が届けば、到着の差は5秒。ここで使うのは、時刻そのものではなく、その間隔なんだ。
このP波とS波の到着時刻の差を、S−P時間と呼ぶことがあるよ。速さの条件が分かる模型なら、差から距離へ話を逆にたどれる。ただし、差が5秒なら現実でも必ず30キロメートル、と覚えてはいけない。さっきの答えは、毎秒6キロメートルと3キロメートルという仮定があったから出た値だよ。測った時間と、計算に使う地中の模型の両方が大切なんだ。
一か所で距離が分かっても、向きは残る
ある観測点から同じ距離にある場所は、一つだけかな。紙の上なら、その点を中心に円を描くと、円の上はどこも同じ距離だよね。距離だけでは、東か西か、どちらに震源があるかまで決められない。そこで、ほかの観測点の情報も使うんだ。別の観測点からの距離という条件を重ねると、両方を満たす候補が絞られていくよ。
二つ目の図では、震源と観測点を同じ平面に置く仮の模型として、三つの円を描いている。円が共通して通るところが、全部の距離の条件を満たす候補なんだ。ただし、現実の震源は地下にある。地図の円を三つ重ねるだけで、正しい深さまで自動的に分かるわけではないよ。平面の模型で分かることと、立体の地球で調べることを分けよう。
本当の地中は、一様な道ではない
現実の地球では、波の速さは通る岩や深さによって変わり、波の通り道も単純な一直線とは限らない。研究者は、地中の構造を表す模型や、距離と波の到着時間の関係をまとめた走時表などを使うよ。気象庁の資料でも、P波やS波が現れた時刻を使い、震源の位置や深さを計算する方法が説明されているんだ。
測定にも、ぴったり一つの答えに決められない幅がある。小さい波の始まりを読み取りにくい場合や、地面のほかの振動が記録に入る場合もあるよ。観測点を増やし、観測された時刻と、模型から計算した時刻がどれくらい合うかを調べていく。図の円がきれいに一点へ集まるのは、誤差を省いた模型だからなんだ。現実には複数の記録を合わせ、よりよく説明できる場所を探す必要があるよ。
観測点と震源を同じ平面に置き、深さや誤差を省いた仮の図だよ。実際の地図や観測データではなく、円を三つ重ねるだけで現実の震源の深さまで決まるという意味ではないよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図時間差と、揺れの強さは別の情報
波の線が高く描かれていると、遠い地震なのかなと思うかもしれない。でも、線の高さは地面の動きを拡大して示したもので、地震の規模や距離、観測する条件などにも関係する。線が高いから必ず遠い、という読み方はできないよ。波が届き始める時刻と、波の大きさは、記録の中の違う情報なんだ。
ここで扱ったのは、すでに起きた地震の波から、その地震の場所を調べる考え方だよ。まだ起きていない地震の日時を当てる仕組みではない。気象庁の緊急地震速報も、起きた地震を検知して計算する仕組みで、この図の仮の時間表をそのまま使っているわけではないんだ。何を測り、何を知ろうとしているのかを分けると、情報の意味を正しく読めるね。
どっとと考えよう:一つの円で場所は決まる?
紙に一つの点を置き、その点を中心に円を描いてみよう。円の上に二つの印を付けると、中心からの距離は同じでも、場所は違うことが分かるね。次に別の点と円を足し、二つの円が交わるところを見てみよう。条件を一つ増やすと、候補がどう変わるかな。紙の上の距離当てゲームなら、地面を揺らす実験も、実際の地震を待つ必要もないよ。
最後に、最初の図へ戻ろう。P波もS波も先ほどより早く届いたとしても、二つの間隔が同じなら、この一定の速さの模型で考える距離は同じになるかな。出発の時刻を変えることと、波が進む距離を変えることを比べてみよう。時間の差を測ること、複数の場所の条件を合わせること、模型の限界を確かめること。見えない地下を調べる仕事には、こうした工夫が組み合わさっているんだね。

ことばのメモ
- 震源と震央
- 震源は地震が始まった地下の場所。震央はその真上の地表の場所だよ。
- P波とS波
- 地中を伝わる波の種類。P波は進む向きに沿う動き、S波は進む向きに対して横向きの動きを伝えるよ。
- S−P時間
- 同じ地震のS波とP波が、観測点へ届いた時刻の差。距離を調べる手がかりになるよ。
- 走時表
- 地中の模型に基づき、距離や深さと、波が伝わるのにかかる時間の関係をまとめた表。
- 観測点
- 地震計などを置いて、地面の動きの記録を集める場所。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- USGS:Body waves inside the earth(P波・S波の伝わり方)
- USGS:About the Seismograms(波形と到着の読み方)
- 気象庁:地震月報・利用の手引き 1.2(到着時刻と震源の計算)
- 気象庁:緊急地震速報のしくみ(地震検知後の情報処理)
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