
キノコは植物じゃないの? 土の下の体をのぞこう
地面から生えるキノコには、葉っぱも口もない。何を食べ、見えていないところでどんな体を広げているのかな?

まず、ひとことで
キノコを作る菌類は、植物とは別の仲間。多くは体の外で材料を分解して吸収し、細い菌糸を広げて暮らしているよ。
生えている場所だけでは、仲間は決まらない
木のそばにキノコが出ていると、小さな植物に見えるね。昔は菌類を植物の仲間として扱った時代もあったよ。でも今は、植物とも動物とも別の大きな仲間として分けているんだ。菌類には、キノコを作るもののほか、カビや酵母なども含まれるよ。
仲間分けは「土から生えて、歩かない」という見た目だけで決めるわけではないんだ。体を作る小さな単位である細胞の仕組みや、栄養の得方などを比べるよ。似た場所で暮らしていても、体の作りや暮らし方が同じとは限らないんだね。
逆に、キノコの形が違うからといって、それだけで遠い仲間と決まるわけでもないよ。傘のような形を眺めるのは楽しいけれど、見えている形の奥には別の情報がある。今回は「栄養をどう取り入れるか」と「体のどこを見ているか」を探ってみよう。
目の前のキノコは、体の一部分
キノコを作る多くの菌類では、土や落ち葉、木の中に細い糸のような体が伸びているよ。一つ一つの糸を「菌糸」、それが集まって広がったものを「菌糸体」と呼ぶんだ。目の前の一本だけでは、体全体の広がりが分からないことがあるよ。
私たちがふだんキノコと呼ぶ部分は、胞子という小さなものを作って広げるための「子実体」なんだ。胞子は、合う環境にたどり着くと新しく育つきっかけになるよ。植物の種を連想してもよいけれど、種と胞子は体の作りが同じではないんだ。
たとえば、本の一ページだけ見て本全体の厚さは決められないね。それと少し似て、地上に見える子実体だけから菌の全体は決められない。下の図は、土の中を透かして描いた想像用の図だよ。実際に地面が透けて見えるわけではないんだ。
キノコを作る菌類の一例を簡略化した図。菌糸は本当はもっと細く、広がる場所や大きさは種類と環境で違うよ。胞子と子実体の大きさもそろえていないんだ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図口がないのに、どうやって食べる?
人は食べ物を口に入れてから、体の中で細かく分けて吸収するね。多くの菌類は順番が違うんだ。体の外へ「酵素」という分解を助ける物質を出し、周りにある有機物を小さな材料にして、体の表面から吸収するよ。
有機物とは、ここでは落ち葉や木など、生きものが作った炭素を含む材料を考えるとよいよ。大きい材料をそのまま全部取り込むのではなく、利用できる形にして受け取るんだ。菌糸が材料の中へ伸びることは、受け取る場所を増やすことにもつながるね。
「外に胃袋を広げる」とたとえたくなるけれど、本物の胃が土に出ているわけではないよ。酵素の働きと吸収する体の表面があるんだ。たとえ話は順番をつかむ助けにして、体の構造まで人と同じだとは思わないようにしよう。
植物のごはん作りと比べよう
緑の植物の多くは、光のエネルギーを使い、水と二酸化炭素から糖を作る光合成をするよ。菌類はこの方法で糖を作れず、周りの生きものやその残りから、炭素を含む材料を得るんだ。土の同じ場所にいても、材料を得る入口が違うんだね。
細胞の外側を支える「細胞壁」にも違いがあるよ。植物ではセルロース、菌類ではキチンなどが重要な材料になっているんだ。ただし、一つの材料だけで体全部ができているわけではない。図で一つの名前を目立たせても、材料表の全部ではないよ。
比べるときは、同じ項目を並べるのがこつだよ。植物の色と菌類の大きさを比べても、栄養の取り方は分からないね。「糖をどう得る?」「体を支える壁は?」と問いをそろえると、似ている点と違う点がはっきりしてくるんだ。
緑の植物の光合成と、分解して栄養を得る菌類の例を比べた模式図。植物にも光合成をしないものがあり、菌類にも根と共生するなど様々な暮らしがあるよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図森の片付けと、根とのやり取り
落ち葉や枯れ木を分解する菌類は、森で材料が巡ることを助けるよ。木の形をした材料が変化し、その一部は菌の体へ入る。やがて別の生きものにも利用されるんだ。落ち葉が消えるのは魔法ではなく、材料が形や行き先を変えることなんだね。分解には菌類以外の生きものも関わるよ。だから、落ち葉の量が減った記録だけでは、どの生きものがどれだけ働いたかまでは分からないんだ。森の変化と、その原因を分けて調べる必要があるね。
一方、植物の根と組んで暮らす菌類もいるよ。根と菌の結び付きを「菌根」と呼ぶんだ。菌糸が土から集めた水や養分を植物へ渡し、菌は植物が光合成で作った糖などを受け取る。この関係では、木をただ分解して食べているのとは事情が違うね。
だから、菌類を全部「枯れ木を食べるもの」と一言でまとめることはできないよ。ほかの生きものに病気を起こす種類もいるんだ。自然の中の役割を調べるときは、菌の名前と相手、暮らしている条件を確かめることが大切だよ。
キノコが見えなければ、菌もいない?
昨日は何も見えなかった場所に、今日はキノコが出ていることがあるね。そこで「昨日は菌がまったくいなかった」と決めるのは早いよ。見えにくい場所で菌糸が育ち、条件がそろってから子実体が現れた可能性があるんだ。
反対に、子実体がなくなっても、土や木の中の菌糸まで一度に全部なくなったとは限らない。見ている部分と、生きものの全体を区別しよう。地上の写真は役立つ記録だけれど、写真に写らない場所の状態まで全部教えてはくれないんだね。
しかも菌類すべてが、目立つ傘の形の子実体を作るわけではないよ。酵母のように主に一つの細胞で暮らすものもいる。「キノコの図で説明できる菌類も多い。でも、それが全員の姿ではない」と覚えると、仲間の多様さを見失わないよ。
どっとと考えよう:矢印に名前を付ける
紙の上に木の根と菌糸を描き、両方向に矢印を付けてみよう。片方には糖など、もう片方には水や養分と書くよ。矢印だけを描くより、「何が渡るか」を名前にすると、二つの生きものの関係が説明しやすくなるんだ。
次に、枯れ木を分解する菌の絵を別に描こう。木が光合成をして菌に糖を渡す絵とは違うね。同じ菌類でも、相手が生きた根なのか、枯れた木なのかで、材料のやり取りを分けて考える必要があるんだ。
本物のキノコを観察するときは、写真や絵で形や生えている場所を記録するだけでも十分だよ。見た目だけで食べられるかは決められないので、採って口に入れないでね。まずは触らず、地上の姿の下にどんな暮らしがあるのか想像してみよう。

ことばのメモ
- 菌糸・菌糸体
- 菌糸は細い糸状の体。それらが集まって広がったものが菌糸体だよ。
- 子実体
- 胞子を作って広げるための部分。キノコと呼ぶ形もその一つ。
- 酵素
- 材料を分解するなど、化学反応を進めることを助ける物質。
- 菌根
- 植物の根と特定の菌類が結び付いたもの。水や養分、糖などのやり取りがあるよ。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- 英国王立植物園キュー:What in earth? Understanding what fungi really are
- 英国王立植物園キュー:The wonderful world of fungi
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