
ファラデーは、磁石からどうやって電気を取り出したの?
磁石をコイルへ近づけると電流が流れるのに、止めると流れなくなる? ファラデーの実験から、「変わること」が発電につながるひみつを探ろう。

まず、ひとことで
コイルを通る磁束が変わると、電気を動かす働きが生まれる。これが電磁誘導だよ。磁石があるだけでなく「変化」が大切だと、ファラデーの実験から分かるんだ。
磁石を置くだけで、発電できる?
磁石は、少し離れた鉄を引きつけられるよね。目に見えないところで力が働くなんて、不思議だね。では、磁石のそばへ金属の線を置けば、そのままずっと電気が使えるのかな。この問いを考えるとき、磁石が「あること」と、何かが「変わること」を分けてみよう。
電流は、電気を帯びたものが移動する流れだよ。金属の線では、電子という小さな粒がこの流れを担うんだ。線をぐるぐる巻いたものをコイルと呼ぶよ。コイルへ電流計をつなぐと、目では見えにくい電流を、針の動きなどで確かめられるんだ。
電気と磁石の関係を実験で調べた科学者に、マイケル・ファラデーがいるよ。イギリスの王立研究所で働き、1831年に電磁誘導という現象を発見したんだ。今回は、歴史に残る鉄の輪の装置と、磁石を動かす実験を手がかりに考えていこう。
鉄の輪に、二つのコイルを巻く
王立研究所には、ファラデーが使った鉄の輪の装置が残っているよ。輪の離れた二か所に銅の線を巻き、綿で絶縁したものなんだ。絶縁とは、電気が意図しないところを通らないようにすること。線をただ金属の輪へ直接くっつけた装置ではないよ。
片方のコイルを電池につなぎ、もう片方で電流を調べる。二つの線は、一本につながってはいないよ。ところが、電池側で電流を流し始めると、もう片方にも短い間だけ電流が現れたんだ。ファラデーがこの装置で成功した日は、1831年8月29日と記録されているよ。
重要なのは「短い間だけ」というところだよ。電池側で一定の電流が流れ続けても、調べる側に同じように電流が流れ続けるわけではないんだ。電池側の回路を切ったときには、反対向きの短い電流が現れる。この始まりと終わりの違いが、仕組みを知る手がかりになるよ。
1831年の装置の仕組みを整理した模式図。コイルの線は互いにも鉄にも電気を通さないよう隔ててあるよ。巻き数や形、大きさは実物と異なるよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図目に見えない磁場の、変化を読む
磁石の周りには、磁石の力が働く様子を表す「磁場」があるよ。実は、電流が流れるコイルも磁場を作るんだ。鉄の輪の実験では、電池側の電流が変わると、もう片方のコイルを通る磁場も変わる。二つの線を直接つながなくても、その変化が電気を動かす働きを生むんだね。
もう少し正確には、コイルの輪の中を通る磁場の量を表す「磁束」の変化が大切だよ。磁場の強さだけでなく、輪の広さや、磁場に対して輪がどちらを向くかでも変わるんだ。磁束を説明する線は、磁場を描くための道具で、本当にひもが通っているわけではないよ。
磁束が変わると、回路に電気を動かす働きが生まれる。この現象が電磁誘導なんだ。電流が一周できる道をつないでおけば、電流を取り出せるよ。電池そのものを別のコイルへ移したわけでも、鉄の中から電子が飛び出して線へ渡ったわけでもないんだ。
近づける・止める・遠ざける
仕組みを見やすくするため、今度は電池と鉄の輪の代わりに、棒磁石とコイルを考えよう。コイルは電流計につなぎ、同じ極を向けた磁石を差し込むように近づける。磁束が変わる間、電流計の針が片側へ振れるよ。
磁石をその場で止め、落ち着いてから見ると針はゼロへ戻るよ。磁石はまだ近くにあるのに、電流は流れ続けないんだ。次に、同じ磁石を引き抜くように遠ざけると、針は逆側へ振れる。入れるときと出すときで、磁束の変わり方が逆になるからだね。
針が左右のどちらへ振れるかは、磁石の極や、線のつなぎ方でも変わるよ。図の左右は比較するための例で、いつも「近づけたら右」と決まってはいないんだ。同じ装置、同じ向きのままで、近づけるときと遠ざけるときが反対になることに注目しよう。
同じ極・同じ配線での比較。針の左右は一例で、極や配線を逆にすると入れ替わるよ。針の角度は実測値ではないよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図「動けば何でもよい」わけではない
同じコイルと磁石で、同じ道筋を比べるなら、速く近づけたほうが大きな電圧を生みやすいよ。電圧は、電気を動かす働きの大きさを表すものだね。大切なのは移動した距離だけではなく、磁束がどれくらいの時間で変わるかなんだ。
磁石を止めて、コイルのほうを近づけても、磁束が変われば電磁誘導は起きるよ。「磁石を動かす手」だけが特別な役目を持つわけではないんだね。ただし、磁石とコイルの位置関係を保ったまま一緒に運ぶだけなら、それだけで同じ変化を作れるとは限らないよ。
また、磁石を動かさなくても、鉄の輪の実験のように、別のコイルへ流す電流を変える方法もあったね。二つの実験で動いている物だけを見くらべると違って見える。でも、コイルを通る磁束が変わるという共通点で考えると、同じ現象としてつながるんだ。
電気のエネルギーは、どこから?
棒磁石を動かす実験では、電気として取り出すエネルギーは、磁石を動かすためにした仕事から来るよ。磁石が、使っても減らない燃料のように電気を送り続けるわけではないんだ。電池を使う鉄の輪の実験なら、もとのエネルギーは電池側から供給されるよ。
発電機は、このような仕組みで、回転させる運動などのエネルギーを電気へ変える装置なんだ。風力発電では、風が羽根を回し、その回転が発電機へ伝わるよ。水力発電では、流れる水が水車を回す。回転させる元が何なのかまでたどると、発電の意味がよく分かるね。
発電機では、磁石とコイルの向きなどをくり返し変えて、電気を取り出し続けられるようにするよ。どこからもエネルギーを受け取らずに動き続ける装置ではないんだ。また、太陽電池のように光から直接電気へ変える仕組みもあり、すべての発電がコイルの回転というわけではないよ。
紙の上で、実験の記録を作ろう
紙に三つの枠を描き、「近づける」「止める」「遠ざける」と書いてみよう。最初は図を隠して、それぞれの枠へ電流計の針の予想を描くんだ。次に図と比べて、どの予想を変えたくなったか、理由を一行添えてみよう。道具がなくても、実験で確かめる問いを作れるよ。
三つの枠では、磁石の極、コイル、線のつなぎ方を同じにしておこう。近づけるときだけ極を裏返したら、動かす向きと極の向きのどちらが違いを生んだのか分からなくなるね。一度に変える条件を一つにすることが、比べるときの大切な工夫だよ。
ここでは実際の電気配線を作る必要はないよ。実験を見たいときは、出典の大学の実演資料などを大人といっしょに見てみよう。電流計の針が振れた場面だけでなく、磁石を止めたあとの場面も確かめると、変化に注目する意味が見えてくるね。
どっとと考えよう:止めた場面も発見?
もし記録に「磁石を近づけたら、針が振れた」とだけ書いてあったら、何がまだ分からないかな。磁石が近い間ずっと流れるのか、動いている間だけなのか。この二つの説明は、その記録だけでは区別できないね。どんな場面を足せば確かめられるだろう。
答えの一つは、磁石を近い位置で止めた場面を加えることだよ。動かない場面の結果も、仕組みを見分ける大事な情報なんだ。電流が出たときだけを成功と呼ぶのではなく、出ない条件を調べることも、科学の発見を支えるんだね。
ファラデーの実験が教えてくれるのは、目立つ道具だけを見るのではなく、その前後で何が変わったかを追う面白さだよ。磁石、コイル、針という三つを、時間の流れの中でつなげてみよう。その見方が、実験室の小さな変化と、暮らしを支える発電機を結んでいるんだ。

ことばのメモ
- コイル
- 電気を通す線をぐるぐる巻いたもの。
- 磁場・磁束
- 磁場は磁石の力が働く様子を表すもの。磁束は、輪などの面を通る磁場の量を表すよ。
- 電磁誘導
- 輪を通る磁束が変わることで、電気を動かす働きが生まれる現象。
- 絶縁
- 電気が意図しないところへ流れないよう、通りにくい材料で隔てること。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- 王立研究所:Michael Faraday’s ring-coil apparatus
- トロント大学物理学科:Current Produced In A Coil By A Moving Magnet
- OpenStax:University Physics Volume 2「13.1 Faraday’s Law」
- 米国エネルギー情報局(EIA):How electricity is generated
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