
星の明るさのリズムで、宇宙の距離を測れるの?
遠い星まで、巻き尺は伸ばせないよね。ヘンリエッタ・レヴィットが見つけた、明るさの変化と光る力の関係から、宇宙のものさしを考えよう。

まず、ひとことで
レヴィットは、セファイド変光星の明るさが変わる周期と、星本来の明るさに関係があることを見つけたよ。この関係を別の距離測定で目盛り合わせすると、周期から見積もる本来の明るさと、地球から見える明るさを比べて距離を調べられるんだ。
巻き尺が届かないところを、どう測る?
机の長さなら、ものさしを当てて測れるね。でも、遠い星まで巻き尺を伸ばすことはできない。空に見える小さな光から、距離の手がかりを読み取る必要があるんだ。その大切な道を開いた科学者の一人が、ヘンリエッタ・スワン・レヴィットだよ。ハーバード大学天文台で、星を写した写真の記録を調べる仕事に取り組んでいたんだ。
当時の星の写真は、光に反応する材料を付けたガラス板に記録されていた。写真乾板と呼ばれるものだよ。一枚の美しい写真を眺めるだけではなく、違う日に撮った記録を比べると、星の明るさが変わる様子を調べられる。レヴィットの研究には、たくさんの記録を丁寧に比べ、小さな違いを測る仕事が積み重なっていたんだ。
明るくなったり暗くなったりする星
明るさが変わって見える星を、変光星というよ。その中に、明るさが繰り返し変わるセファイド変光星という仲間があるんだ。ここで中心にする古典的セファイドは、星自身が膨らんだり縮んだりし、温度なども変わる星だよ。地球の空気の揺れで星がちらちら見える現象とは違って、星そのものの光る様子に変化があるんだ。
明るい山から、次の明るい山へ戻るまでの時間を、周期という。歌の拍子を数えるように、繰り返す間隔を調べるイメージだね。ただし、星が時計を持って刻んでいるわけではないし、どんな星でも同じ規則で明るさが変わるわけでもない。どの種類の星を観測しているかを確かめることが、ものさしを使うための出発点になるよ。
周期を説明するための模型で、実測の光度曲線ではないよ。横の時間幅は同じ。縦の尺度は各星で別なので、二つの曲線の高さから星本来の明るさを比べないでね。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図写真を一枚だけ見ても、リズムは分からない
ある日の写真で暗かった星が、別の日には明るく写っているとするよ。でも、その二枚だけで、何日ごとに変わるかまで決められるかな。同じくらい明るい状態へ戻ったのか、途中で何回も変化したのか、まだ区別できないよね。いろいろな時刻の測定を集め、明るさを時間に沿って並べることで、繰り返しを探していくんだ。
星の明るさを縦、時間を横にして点を置いた図を、光度曲線というよ。山から次の山までの横の長さが、周期の手がかりになる。図の山の高さと、山どうしの間隔は別の情報なんだ。また、写真の撮り方が違うと、同じ星でも写り方が違うことがある。比べる基準の星を使うなどして、観測の条件の違いを確かめることも必要だよ。
同じ星の集まりを比べたのが、工夫だった
レヴィットは、小マゼラン雲という星の集まりにある変光星を調べたよ。そこにある星は、私たちから見ると、おおよそ同じ距離にあると考えられる。もちろん、すべての星が一枚の平らな板の上に並んでいるわけではない。それでも、私たちからその集まりまでの遠さに比べれば、集まりの奥行きの影響を小さく扱える、という工夫なんだ。
もし星までの距離が大きくばらばらなら、暗く見える理由が『遠いから』なのか『もともと暗いから』なのか分かりにくいよね。距離がおおよそそろった星を比べると、見かけの明るさの差から、星本来の明るさの違いを考えやすくなる。そこでレヴィットは、周期の長いセファイドほど明るいという関係を見いだした。1908年にその手がかりを報告し、1912年には観測を増やした結果を示したんだ。
リズムだけで、距離が全部分かるわけではない
この周期と本来の明るさの関係は、周期・光度関係、またはレヴィットの法則と呼ばれているよ。ここでいう本来の明るさは、地球でどれくらい明るく見えるかとは別のもの。星がどれくらいの光を放っているかを考えるための量なんだ。私たちへ届く光は、同じ光る力の星でも、近いか遠いかで変わるよ。二つの明るさを混ぜないようにしよう。
ただし、周期と明るさの並び方を見つけただけでは、宇宙の距離の目盛りが全部決まるわけではない。別の方法で距離が分かるセファイドなどを使って、関係の目盛り合わせをする必要があるんだ。これを較正というよ。レヴィットの発見を土台に、ほかの研究者による測定も加わって、距離を測る道具へ育っていった。科学の発見は、一人のひらめきだけで完成するとは限らないんだね。
同じ光る力なら、遠いほど暗く見える
目盛り合わせができた関係を使うと、周期から星本来の明るさを見積もれる。次に、地球から見える明るさを測り、二つを比べて距離を調べるんだ。たとえば、同じ光る力の星を考えよう。光をさえぎるものがなく、距離だけを二倍にした単純な模型では、同じ面積に届く光は四分の一になるよ。光がより広い面へ広がるためなんだ。
ここでの二倍と四分の一は、図を読むための仮の比較で、特定の星を観測した値ではないよ。また、暗く見える星が必ず遠いとは限らない。本来の光る力が弱い星かもしれないからだ。だからこそ、見かけの明るさとは別に、本来の明るさの手がかりが必要になる。セファイドの周期は、そのもう一つの情報を与えてくれるんだね。
距離だけを変えた仮の比較。光の吸収を省き、同じ面積に届く光を比べているよ。数値は実際の星の測定結果ではなく、星や観測者の大きさも実際の縮尺ではないよ。
出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図宇宙のものさしにも、確かめるところがある
セファイドには種類があり、種類が違えば、使う周期と明るさの関係も違うよ。明るさが変わる星を見つけたからといって、全部へ同じ関係を当てはめてはいけない。光度曲線などを調べ、種類を確かめてから使うんだ。規則を見つけることと、その規則が使える相手や条件を見極めることは、どちらも大切な科学の仕事なんだよ。
こうした星を遠い銀河の中で見つけられると、銀河までの距離を考える手がかりになる。セファイドは、明るさの基準にできる天体という意味で、標準ろうそくと呼ばれることがあるよ。本物のろうそくのように全部が同じ光る力、という意味ではない。周期から本来の明るさを見積もれることが大事なんだ。小さな測定の積み重ねが、遠い宇宙を測る道へつながったんだね。
どっとと考えよう:暗い星は、必ず遠い?
紙に二つの星を描き、一つを明るい色、もう一つを薄い色にしてみよう。薄い色の星を遠くへ描けば、遠いから暗く見える説明になるね。でも、二つを同じ場所に描き、片方だけ本来の光る力が弱いことにしても、暗く見える理由になる。見かけの明るさだけでは、どちらか決められないことを確かめてみよう。
次に『この種類の星なら、明るさの変わる周期から本来の明るさを見積もれる』という情報を足そう。さっきより、距離を考えやすくなるかな。実際の測定では、たくさんの観測と正しい目盛り合わせが必要だよ。太陽を直接見たり、強い光を目へ向けたりする実験は必要ない。紙と図だけで、本来の明るさと見かけの明るさを分けることが、宇宙のものさしへの第一歩になるんだ。

ことばのメモ
- 写真乾板
- 光に反応する材料を付けたガラス板。昔の天体観測の写真を記録するために使われたよ。
- セファイド変光星
- 明るさが周期的に変わる星の仲間。種類ごとに周期と本来の明るさの関係があり、距離の測定に役立つよ。
- 周期と光度曲線
- 周期は同じ変化を繰り返す時間。光度曲線は、時間に沿って星の明るさを並べた図だよ。
- 較正
- 別の測定や基準を使い、道具や関係の目盛りを合わせること。
- 標準ろうそく
- 本来の明るさが分かる、または見積もれるため、距離の手がかりにできる天体の呼び名だよ。
もとになった資料・もっと知りたい人へ
下記の資料をもとに、説明と考える問題を独自に構成しています。外部資料には英語のページもあります。どっとの画像は案内用のイラストで、観測写真や科学的な図ではありません。
- Harvard Plate Stacks:Variable Stars(レヴィットの観測と1908・1912年の研究)
- Harvard CfA:Sensing the Dynamic Universe — Cepheids(変光星の種類と周期・光度関係)
- NASA StarChild:Cepheids(周期と明るさから距離を調べる考え方)
分かりやすくするために、説明を短くしたり、たとえ話を使ったりしています。まちがいを見つけたらお問い合わせへお寄せください。制作方法は編集方針、いっしょに読むときのヒントは保護者・先生へで紹介しています。