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キャサリン・ジョンソンは、宇宙船の道筋をどう計算したの?:内容をイメージした挿絵
科学者たち

キャサリン・ジョンソンは、宇宙船の道筋をどう計算したの?

宇宙へ行って、地球へ帰る。その道筋を支えた数学者、キャサリン・ジョンソン。動く地球と通りたい地点を結び付け、計算を確かめる仕事を見てみよう。

まず、ひとことで

宇宙船の道筋は、位置や速さ、向き、時刻などの条件と結び付いているよ。キャサリンは、通りたい地点から条件を考える研究や、電子コンピューターの答えを計算し直して確かめる仕事で、飛行を支えたんだ。

宇宙へ行くだけでは、旅は終わらない

宇宙船を打ち上げるとき、空の高い所まで届けば、それでよいのかな。人が乗る旅なら、どこを通り、いつ地球へ戻るかも考えたいね。キャサリン・ジョンソンは、アメリカの宇宙開発で、その道筋の計算に取り組んだ数学者だよ。宇宙船に乗って操縦する人とは違う場所から、飛行を支えたんだ。今日は、行きたい場所と、出発の条件を数学でつなぐ仕事を見てみよう。

キャサリンは1918年に生まれ、2020年に亡くなった。幼いころから数えることが好きだったと、NASAの資料に残っているよ。1953年には、NASAの前身であるNACAのラングレーで働き始めた。当時「コンピューター」と呼ばれたのは、計算を仕事にする人たちでもあったんだ。紙、鉛筆、卓上の計算機などを使い、測定したデータを調べる仕事があったんだね。

道筋は、位置と進み方から考える

物が時間とともにたどる道筋を、軌道というよ。宇宙船の道筋を考えるには、ある時刻にどこにいて、どの向きへ、どれくらいの速さで進むかが大切になる。さらに、地球が引く重力の影響も受ける。同じ場所から出発しても、進み方が違えば、その後の道筋は変わるんだ。宇宙船が地図に描いた線を見て、自分でその通りに進むという意味ではないよ。

地球の周りを回る宇宙船にも、重力は働いている。横向きに進みながら地球へ引かれ、道筋が曲がるんだ。宇宙に出たら重力がなくなり、自由にどこでも止まれる、というわけではないよ。最初の図では、位置や進み方から道筋を調べ、回転する地球の表面と照らし合わせる流れを示した。実際の計算では、飛行のどの部分を扱うかによって、必要な条件や式も変わるんだ。

ある時刻の宇宙船の位置と速さ・向きを条件として、重力などを考えて道筋を計算し、同じ時刻の回転する地球上の位置と照らす流れ。
道筋と、地球の上の位置をつなぐ

軌道計算の考え方を単純化した模式図。箱と矢印は計算のつながりで、実際の飛行経路ではない。通過する地上の位置と、着陸位置は同じ意味ではないよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

地球の上の目印も、動いている

宇宙船が飛んでいる間にも、地球は自転しているよ。地球の表面に付けた目印は、宇宙の中で同じ位置に止まり続けているわけではない。だから、宇宙船の道筋だけ描き、下の地球を固定したまま考えると、通りたい地点との関係を取り違えることがあるんだ。どこを通るかには、いつ通るかも関わる。場所と時刻を組にして考える必要があるんだね。

これは、回る台の上に目印を付け、その上を別の物が通る場面を紙で想像すると分かりやすいよ。ただし、実物の宇宙船は台の溝に沿って走るわけではない。このたとえで注目するのは、目印の位置も時間で変わることだけだよ。地面から見た位置と、宇宙から見た位置を区別すると、宇宙船の旅が、一枚の止まった地図だけでは表しきれない理由が見えてくるね。

通りたい地点から、条件を探す

1960年、キャサリンとテッド・スコピンスキーは、人工衛星を、選んだ地上の地点の上へ通すための報告書を共同で発表した。報告書は、ロケットの燃焼が終わる地点での進行方向と、後に通過する地上の位置を結び付けているよ。地球の回転も扱い、地球を球とみなす近似から始めて、少しつぶれた形の影響を加える方法も説明しているんだ。

ここでは、NASAが公開する原資料の要旨と導入を参照した。大切なのは、出発の条件から行き先を予測するだけでなく、先に通りたい地点を決め、条件を探す問いも立てられることだよ。この報告書だけで、着水までの全ての動きが決まるわけではない。帰還のためには、軌道から大気中へ入る段階なども考える必要がある。地上の地点の上を通ることと、そこへ着陸することは区別しよう。

別の計算で、同じ答えになるか確かめる

1961年、アラン・シェパードが宇宙へ飛んだとき、キャサリンはその飛行の道筋の計算に携わった。さらに1962年、地球を周回するジョン・グレンの飛行前には、電子コンピューターの計算を確かめる仕事をしたよ。NASAの記録では、グレンが彼女による確認を求めたとされている。機械が速く計算できるようになっても、人が計算の意味を理解する役割は残っていたんだ。

NASAの記述によると、彼女は機械に入れたのと同じ数値と式を、卓上の機械式計算機などで計算し直した。二つ目の図は、この確認を一般化して示したものだよ。独立に計算した結果が一致するかを見ることで、入力や計算の取り違えに気づく手がかりが得られる。ただし、同じ式に同じ間違った前提があれば、両方とも同じ誤りにたどり着く可能性はある。一致しただけで、あらゆる安全が保証されるわけではないんだ。

同じ数値と式を電子コンピューターと人の別の計算へ渡し、結果を比べ、違えば原因を調べる。共通する前提の誤りは一致だけでは見つからないことも示す。
同じ条件から、別々に計算して比べる

グレンの飛行前の確認をもとに、検証の考え方を一般化した模式図。実際の計算票や作業工程の再現ではない。人も機械も間違う可能性があり、一致だけで全てを保証できないよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

式の外にも、確かめたいことがある

たとえば、架空の練習問題で「一分に三つのマス進む物が、四分進む」としよう。三と四を掛けて十二、と求められるね。でも、三が一秒あたりの数なのに、一分あたりだと思い込んだらどうだろう。掛け算そのものが正しくても、説明した状況とは合わなくなる。これは宇宙船の実測値ではなく、単位をそろえる大切さを見るために作った例だよ。

宇宙船では、数値、単位、時刻、計算で取り入れた力などの条件を確かめることが必要になる。簡単にするために、何を省略したかも大切だ。1960年の報告書でも、球として扱った地球と、実際の形に近づけた扱いを区別しているよ。数学は、計算を速くするだけの道具ではない。何を仮定し、答えが何を意味するかを整理する道具にもなるんだ。

一人の天才だけで、宇宙船は飛ばない

キャサリンが働き始めたころ、アメリカでは人種による隔離や、女性への差別があった。彼女は、黒人女性の計算者たちが働く部署から出発したよ。能力を伸ばすことに加え、学び、研究に参加する機会そのものに壁があったんだ。そうした社会の仕組みを、本人の努力が足りない問題として片付けることはできない。彼女の仕事を知るとき、周りの環境にも目を向けたいね。

一方で、宇宙開発の成功を、キャサリン一人が全て計算して救った物語にしてしまうのも正確ではないよ。報告書には共同研究者がいて、飛行には技術者、計算をする人、管制や追跡に関わる人などが働いていた。NASAのインタビュー資料でも、彼女は一人で仕事をしたわけではないことを振り返っている。問いを理解し、仲間の仕事を確かめ合うことが、大きな計画を支えるんだね。

どっとと考えよう:ゴールから出発を決める

紙の上に、まっすぐ並んだ十二個のマスを描こう。ゴールへ着く時刻を午後三時とし、一分に三マス進む、途中で止まらないという仮の決まりを作るよ。かかる時間は四分だから、出発は午後二時五十六分になるね。今度は一分に二マスへ変えたら、出発はいつかな。行き先から条件を探す考え方は、こうした小さな問いでも練習できるんだ。

ただし、このマスの遊びは、実際の宇宙船の軌道計算ではないよ。宇宙では速さや向きが変わり、地球も回り、大気中に入る場面もある。共通するのは、ゴール、時刻、動く決まりをはっきりさせることだね。友だちに別の方法で答えを確かめてもらい、使った単位も説明してみよう。答えを出すことと、答えの理由を人に伝えられること。その両方が、キャサリンの仕事を知る入り口になるよ。

ことばのメモ

軌道
物が時間とともにたどる道筋。地球を回る道筋もその一つ。
自転
地球などの天体が、自分の軸の周りを回ること。
重力
質量のある物どうしが引き合う力。宇宙船の道筋にも関わるよ。
近似
大切な性質を残し、扱いやすい形にして考えること。省いた影響に注意が必要。
機械式計算機
歯車などの機械の仕組みを使って計算する道具。電子コンピューターとは仕組みが違う。
検証
条件や手順、結果を調べ、正しいといえるか確かめること。

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