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マクリントックは、トウモロコシの粒から何を見つけたの?:内容をイメージした挿絵
科学者たち

マクリントックは、トウモロコシの粒から何を見つけたの?

黄色い粒の中に、紫色の斑点がある。その模様は、細胞の中で起きた変化の手がかりだったんだ。バーバラ・マクリントックが、観察と交配の記録をつないだ仕事をたどろう。

まず、ひとことで

マクリントックは、トウモロコシの色や染色体を調べ、場所を変える遺伝的な領域を見つけたよ。今では移動するDNA領域をトランスポゾンと呼ぶんだ。色を作る遺伝子の働きに影響する場合があり、粒の斑点が変化を知る手がかりになるよ。

色の違いを、細胞の中への入り口に

トウモロコシの粒には、黄色や白っぽいものだけでなく、紫色のものもあるね。一粒の中に紫色の斑点がある場合もあるよ。米国の科学者バーバラ・マクリントックは、こうした色の違いと、細胞の中の染色体の変化を結び付けて研究したんだ。見た目の面白い模様を集めただけでなく、どうすればその違いを説明できるかを考え続けたよ。

マクリントックはコーネル大学で学び、1927年に博士号を取得した。若いころからトウモロコシを研究し、染色体を染めて顕微鏡で観察する技術を磨いたんだ。染色体は、DNAなどからできた、遺伝に関わる情報をまとめて持つ構造だよ。粒の色を見ることと、染色体を見ることは、同じ対象を違う大きさで調べる二つの窓になったんだね。

同じ遺伝子でも、働きが妨げられることがある

遺伝子はDNAの中にある、体の働きに関わる情報を持った領域だよ。粒の色には色素を作る仕組みが関わり、その仕組みには複数の遺伝子が働いている。ここでは、そのうち一つの働きが妨げられる場合を考えよう。色を作るために必要な仕事ができなくなると、その細胞では紫色の色素が作られなくなることがあるんだ。

マクリントックの研究につながる例では、Dsと呼ばれる遺伝的な領域が、色に関わる遺伝子の中へ入ることで、働きを妨げる。今の言葉なら、DNAのある領域が別の位置へ移る現象として説明できるよ。最初の図では、遺伝子の中に挿入された領域がある状態と、それが抜けて働きが戻る場合を比べた。全ての色の違いが、この一つの仕組みで決まるわけではないよ。

色に関わる遺伝子の中にDsが入って働きが妨げられた状態と、Dsが抜けて働きが戻る場合を比較する。
挿入された領域が、働きに影響する

色に関わる遺伝子の一例を単純化した模式図。棒はDNAの領域で、正確な長さや塩基配列ではない。Dsの移動を助けるAcなどの働きは省略しているよ。どんな挿入・抜け出しでも同じ結果になるわけではない。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

「動く遺伝子」は、どこへ飛ぶの?

場所を変えるDNA領域は、トランスポゾン、または転移因子と呼ばれるよ。動く遺伝子という呼び名もあるけれど、全ての遺伝子が細胞の中を自由に飛び回るという意味ではない。DNA上の位置が変わることを、「飛ぶ」とたとえているんだ。粒の外から色が飛び込むわけでも、DNAの文字が意思を持って引っ越すわけでもないよ。

Dsの移動には、別の領域であるAcの働きが関わる。この例を、どんなDNAでもひとりでに切り取られ、好きな場所へ動く仕組みと思わないようにしよう。図では分かりやすくするため、その助けとなる働きや、分子が反応する細かな手順を省いている。今の分子の説明と、当時の研究者が観察から組み立てた考えを、区別することも大切なんだ。

一つの細胞の変化が、斑点になる

粒が育つときには、細胞が分裂して数が増える。もし色の見える層のある細胞で、挿入されたDsが抜け、色を作る働きが戻ったらどうなるかな。その細胞から分かれてできた細胞の集まりでも、色を作れる状態が引き継がれ、色の付いた一まとまりの部分になることがある。これが、斑点を説明する手がかりになるんだ。

ほかの条件が同じなら、育ち始めの早い段階の変化は、色を持つ細胞の広い集まりにつながりやすい。後の段階の変化なら、小さな集まりになりやすいよ。二つ目の図は、その違いだけを紙のマスで表した模型だよ。斑点を見れば何でも正確に分かる、という話ではなく、大きさや数が、変化の時期や頻度を考える手がかりになるんだ。

細胞が増える途中で早く色を作れる状態に戻ると広い細胞の集まりにつながり、後で戻ると小さな集まりにつながることを、二つのマスの模型で比べる。
変化の時期が、色の広がりに関わる

同じ条件で時期だけを比べる紙の模型。紫のマスは色を作れる細胞の集まりを表す。マスの数や色の割合は説明用で、実測データや本物の粒の形・細胞数ではないよ。

出典資料に基づきEggplanetが作成した模式図

粒を眺めただけで、答えを決めなかった

紫色の斑点を一つ見つけただけでは、なぜできたかは決まらない。研究では、親となるトウモロコシを交配し、どんな特徴が子へ伝わったかを比べたよ。交配は、親となる組み合わせを決めて子を作ることだね。マクリントックは、その結果と、顕微鏡で見える染色体の特徴や変化を対応させた。目に見える色と、細胞の中の記録をつないだんだ。

今ならDNAの並びを読む方法もあるけれど、当時の観察は、DNAの一文字ずつが移動する動画を見たものではないよ。色の伝わり方や染色体の変化から、どの説明なら結果に合うかを考えたんだ。図の矢印は今の理解を説明するためのもので、当時の顕微鏡映像を写したものではない。見えない仕組みも、違う種類の手がかりを組み合わせれば調べられるんだね。

1950年の報告から、1983年の賞へ

1941年、マクリントックはコールド・スプリング・ハーバーで研究を始めた。そこで積み重ねた仕事の中で、移動する遺伝的な領域についての考えを深めていく。1950年にはAcとDsの仕組みを報告した論文が発表されたよ。すぐに全ての研究者が同じように理解したわけではなく、ほかの生きものの研究や、分子を調べる技術の発展も、後の理解につながったんだ。

1983年には、移動する遺伝的な要素の発見により、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。報告の年と賞の年の間には、長い時間があるね。ただ、賞を取ったから観察が正しくなったわけではないよ。結果を説明し、ほかの研究ともつながって確かめられることが重要なんだ。一人のひらめきだけでなく、栽培、交配、観察、記録を続ける仕事にも目を向けよう。

生きものの情報は、完全に動かない本ではない

DNAを体の説明書と呼ぶと、ページの順番がずっと固定された本を思い浮かべるかもしれない。でも、移動する領域があるという発見は、遺伝の情報を持つ仕組みが、もっと動きのあるものだと教えてくれる。トランスポゾンは、その後、トウモロコシ以外のさまざまな生きものでも見つかったよ。ある植物を詳しく調べた仕事が、広い問いへつながったんだね。

一方、だからといって、体の全ての細胞でDNAがいつでも同じように動くわけではない。移動する領域の種類や、働く条件には違いがある。また、移動したら必ず有利な特徴が生まれる、という意味でもないよ。ここで紹介したのは、粒の色を使って仕組みに近づく一例だね。たとえ話が分かりやすいときこそ、どこまで似ているかも確かめておこう。

どっとと考えよう:見た模様と、考えた仕組み

紙に、斑点のある粒を一つ描こう。左の欄には「紫色の部分がある」「大きさが違う」など、絵から見えることを書く。右の欄には「色を作る働きが途中で変わったのかな」など、説明の候補を書く。右の欄は、まだ絵だけで確かめた事実ではないよ。二つを分けると、次にどんな記録を調べたいかを考えやすくなるんだ。

次に、細胞を表すマスの紙を使い、早く色を作れる状態になった場合と、遅く変わった場合を描き比べよう。これは、細胞が増えて模様につながる考え方の模型で、本物の遺伝子の操作ではないよ。斑点が多いからDNAの総量も多い、といった別の結論は出せない。小さな模様から大きな発見へ進むには、観察と説明の間を、証拠でつなぐことが必要なんだ。

ことばのメモ

染色体
DNAなどからできた、遺伝に関わる情報をまとめて持つ構造。
遺伝子
DNAの中にある、体の働きに関わる情報を持った領域。
トランスポゾン(転移因子)
DNA上の位置を変えることがある領域。動く遺伝子とも呼ばれるが、全ての遺伝子が動くという意味ではない。
DsとAc
マクリントックが調べた遺伝的な領域の名前。Dsが移動するにはAcの働きが関わる。
交配
親となる組み合わせを決めて、子を作ること。特徴がどう伝わるかを調べる方法になる。

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